アフガニスタンでの「敗北」は世界に何をもたらすか

今年 8 月 15 日のカブール陥落の様子は、世界に衝撃をもたらしました。その後、各国はアフガニスタンからの自 国民と現地協力者の国外退避作戦を進め、8 月末には米軍が完全に撤退しました。9.11 後に始まった、国際社会のアフガ ン関与は、タリバンに対する「敗北」に終わりました。
このことは、世界に何をもたらすのでしょうか。欧州では、米国による撤退の混乱に振り回されたことへの憤りと、それ でも米国の後追いをするしかなかったことへの無力感が増大しているようにみえます。加えて、アフガニスタンからの難 民の増加を懸念する声もあがっています。米国ではバイデン政権による撤退の仕方には批判が集中しつつも、撤退自体は 国内で広く受け入れられています。日本では、アフガニスタン情勢への関心がそもそも高くありませんでしたが、大使館 の現地職員等の退避のために自衛隊輸送機が派遣されたものの、邦人 1 人を除いて退避に失敗するなかで、政府の対応へ の批判が高まっています。ただし、2001 年以降、日本はアフガニスタンの再建に深く関与しており、今回の事態は「米 国の敗北」として片づけられるべきではなく、「国際社会の敗北」であり、「日本の敗北」でもありました。
この度のEMBビジネスウェビナーでは、慶應義塾大学准教授の鶴岡路人氏をお迎えし、「アフガニスタンでの『敗北』 は世界に何をもたらすか」と題して、アフガニスタン情勢を踏まえ、特に欧州と日本への影響について分析します。

登壇者プロフィール

  • 鶴岡 路人

    鶴岡 路人
    ツルオカ・ミチト

    慶應義塾大学 総合政策学部 准教授

    1975 年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、同大学大学院法学研究科修士課程、米ジョージタウン大学大学院留学を経て、英ロンドン大学キングス・カレッジにて博士号(PhD)取得。専門は国際安全保障、現代欧州政治、NATO、EU など。 在ベルギー日本国大使館専門調査員(NATO 担当、2005-08 年)、米ジャーマン・マーシャル基金(GMF)研究員を経て、2009 年から 2017 年まで防衛省防衛研究所(教官、主任研究官を歴任)。その間、防衛省防衛政策局国際政策課部員、英王立防衛安全保障研究所(RUSI)訪問研究員等を務める。2017 年 4 月から現職。 東京財団政策研究所主任研究員(客員)を兼務。その他、科学技術・学術審議会(宇宙開発利用部会)臨時委員、Journal of Global Security Studies 編集委員(Associate Editor)などを務める。最近の著作に、『EU 離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書、2020 年)がある。オンライン論考は、東京財団政策研究所、日本国際問題研究所、日本国際フォーラム、笹川平和財団国際情報ネットワーク分析(IINA)、Nippon.com、The Diplomat などに多数執筆。

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