第42回:UAEで起きたテロの背景と注目点

  • 2022/02/03(木)

アラブ首長国連邦(UAE)で1月17日、首都アブダビ郊外の石油関連施設および空港の近辺にて複数の爆発や火災が発生し、インド人2人とパキスタン人1人が死亡、6人が負傷した。イエメンの親イラン武装組織フーシ派が犯行を主張しており、その声明によると、攻撃に使用されたのはドローン(小型無人機)と弾道ミサイルだという。UAE外務省は報復を示唆しており、イエメン内戦を起因とするアラビア半島情勢の緊迫化が懸念される。(増野伊登=三井物産戦略研究所)


■初となる本土標的

今回のテロが特に注目を集めた理由として、UAE本土を標的にしたフーシ派による初めての攻撃だったことが挙げられる(注)。これまで、フーシ派の度重なる越境攻撃の対象はもっぱらサウジアラビアだった。フーシ派と、フーシ派を支援しているとされるイランに対し、サウジは、ハディ大統領主導のイエメン統一政府を支援し、2015年以降、UAEも参加する連合軍を率いてきたからだ。しかし、フーシ派は今回、イエメンと国境を接するサウジ南部に集中していた攻撃の範囲をUAEまで広げた。

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