第38回:チュニジアの政治混乱に絡む大国間の対立

  • 2021/09/02(木)

新型コロナウイルスの感染が拡大するチュニジアで、政治混乱が続いている。サイード大統領が7月25日、メシシ首相の解任と30日間の議会停止を発表したのが事の始まりだ。大統領と首相間の権力闘争の色合いが濃い今回の出来事だが、その裏には、中東の主要国同士の対立も垣間見える。(増野伊登=三井物産戦略研究所)

■「唯一の成功例」の国で

チュニジアは、2010年末以降アラブ諸国に広がった民衆抗議運動「アラブの春」発端の地であり、運動を機に民主化を実現した「唯一の成功例」とされてきた。しかし、国民の生活水準は改善したとは言えず、20年の失業率は16.7%と高い水準で推移。物価も上昇を続けている。それに追い打ちをかけたのが、夏以降の新型コロナの感染者と死者数の急増だ。医療体制は逼迫(ひっぱく)し、各地では抗議デモが発生している。

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