第30回:イラクの大使館閉鎖におわす米の思惑 

  • 2020/10/22(木)

米国のポンペオ国務長官は、9月21日にイラクのサレハ大統領と、26日にはカディミ首相とそれぞれ電話会談を行い、在バグダッド米国大使館の閉鎖を検討している旨を通告したと報じられた。大使館の閉鎖が実行に移されるかどうかは不透明だが、イスラム教シーア派民兵による米国施設への攻撃を止められないイラク政府に対し、米国が不満を募らせているのは確かだ。(増野伊登=三井物産戦略研究所)

■米大使館閉鎖発言の背景
今年の夏以降、米軍基地、米大使館、バグダッド空港を狙ったとされるロケット攻撃や、米軍関係車両などへの襲撃事件が増加している。9月中旬には、死傷者は出なかったものの、英外交団車両も簡易爆弾による襲撃に遭った。米国は、これら一連の攻撃を、イランの影響下にあるシーア派民兵組織の犯行とみている。しかし、カディミ政権は、米国が期待したほどには国内の親イラン民兵を掌握できていない。業を煮やしたトランプ政権が、米大統領選挙を前に、イラク国内の民兵勢力の掃討作戦を計画しているかもしれず、大使館閉鎖もそのための措置である可能性は否めない。

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