第16回:中国・トルコ関係に影を落とすウイグル問題

  • 2019/09/12(木)

トルコのエルドアン大統領は7月、訪問中の中国で、「一つの中国」原則への支持を表明するとともに、新疆ウイグル自治区の少数民族は中国の発展と繁栄の下で幸福な生活を送っていると発言し、ウイグル問題を巡る中国批判から一転、中国政府に歩み寄る姿勢を打ち出した。さらに、訪中前の中国現地紙のインタビューに対しては、2国間の貿易額を従来の倍の500億ドル、将来的には1,000億ドルにまで増加させたいとしたほか、「一帯一路の心臓部」に位置するトルコへの中国からの投資も呼び掛けている。(増野伊登=三井物産戦略研究所)

■ウイグル政策非難で強さ演出
しかし、エルドアン大統領にとって中国との関係は一筋縄ではいかない。ウイグル問題で中国側の肩を持ち過ぎると、国内の反発を買うからだ。これまでエルドアン政権は、2009年の新疆ウイグル自治区での大規模な反政府デモの発生以降、ウイグル人への締め付けを強化しているとされる中国に対し、基本的には反対の立場を取ってきた。その背景には、チュルク系民族かつイスラム教徒であるという、トルコ人とウイグル人の民族・言語・宗教的な共通項に基づく同胞意識がある。正確な数字は不明だが、トルコには1万5,000~5万人ほどの亡命ウイグル人がいると言われ、2015年夏には、イスタンブール市内で中国によるウイグル弾圧を糾弾するデモが複数発生し、中華料理店が襲撃されるなどの事例も報告されている。

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