第15回:人手不足が深刻化するイランの医療現場

  • 2019/08/15(木)

イランでは、医療現場での人手不足が深刻化している。ハリルチ保健副大臣によると、同国の人口1千人当たりの医師・看護師を含む医療従事者数は1.6人であり、世界保健機関(WHO)が、国内にプライマリケア(総合的な保健・医療)を普及させるための必要最低基準とする2.5人を下回っているという。医療従事者が不足する要因として考えられるのが、医療機関における新規雇用の停滞だ。統計がなく定量的な数値を示すことは出来ないが、イランの医療従事者やその関係者に事情を聴いたところ、医師や看護師になるための専門教育課程を修了したにもかかわらず、就職できない若者が少なくないという。(増野伊登=三井物産戦略研究所)

■人材の国外流出と都市部への集中

イランでは、2014年に国民皆保険制度(通称:ロウハニケア)が導入され、保健医療関連支出の増加が政府財政を圧迫している。一方で、ロウハニ政権は、物価上昇や高失業率に対する国内の不満が高まる中で、国民の医療費負担を増やせないというジレンマを抱えている。このような状況下で、医療機関の中でも特に公立病院は、コスト削減の必要に迫られており、新規雇用を控えざるを得ない事情を抱える。

関連記事

ページ上部へ戻る