第24回:米国の対パレスチナ経済支援策についての考察

  • 2019/07/18(木)

クシュナー米国大統領上級顧問は6月22日、「繁栄への平和(Peace to Prosperity The Economic Plan: A New Vision for The Palestine People)」と題する対パレスチナ経済支援策を発表した。同支援策は、トランプ政権が「世紀の取引」と呼ぶ新中東和平案の経済面での施策であり、支援と引き換えに政治的譲歩を迫る狙いがあるなど、さまざまな政治的臆測を呼んでいる。ここでは、政治的臆測はさておき、パレスチナ経済の構造的視点から、経済支援策の数値目標が持つ意味を考察したい。(柏木健一=筑波大学人文社会系准教授)
この支援策は、中東和平の実現に向けて、パレスチナ自治区やエジプト、ヨルダンなどの近隣諸国に今後10年間で総額500億ドルの援助や融資を行い、電気、水道、排水網の整備や道路建設、インターネット環境の向上のためのインフラ開発を実施するものであり、パレスチナの国内総生産(GDP)の倍増、100万人の雇用創出、貧困率50%削減などの数値が掲げられている。ただ、パレスチナ自治政府は、エルサレム帰属、ユダヤ人入植地、パレスチナ難民帰還などの政治的問題の解決の方向が示されていないとして、この支援策には拒否の姿勢を示している。

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