第11回:カショギ事件を通してみるサウアラビアのメディア戦略

  • 2019/03/21(木)

在米サウジアラビア人ジャーナリストのジャマル・カショギ氏殺害事件を受け、欧米メディアがこぞってサウジの「人権問題」を報じたことで、同国に対する国際社会の風当たりはこれまで以上に厳しくなった。しかし、サウジアラビアの孤立ぶりを殊更に強調する欧米メディアの論調が、アラブ世界でも当然のごとく受け入れられているわけではない。(増野伊登=三井物産戦略研究所)

事実、アラブ系メディアでは、サウジ批判に対する消極姿勢が年々強まっている。サウジ国内紙が自国政府を擁護するのはともかく、ロンドン発の汎アラブ紙「アルハヤート」(1942年創刊)や「アルシャルク・アルアウサト」(1978年創刊)、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国に本社を置くアラビア語ニュース放送「アルアラビーヤ」(2003年設立)といったアラブ全域を代表する新聞や放送局も、サウジ擁護に回っているのが実情だ。なぜなら、サウジアラビアは1970年代以降、元々エジプトの独壇場だったアラブのメディア業界に対し、オイルマネーを徐々に投入し始め、今やアラブ系メディアを席巻していると言っても過言ではないからだ。上記の3紙も、いずれもサウジ資本下にある。

関連記事

ページ上部へ戻る