第5回:急速に変化するサウジアラビアと、中東を取り巻くビジネス環境の変容

  • 2018/08/02(木)

サウジアラビアは、これまで内政面では厳格なイスラム教義に基づく保守的な政策を、外交面では米国追従型の政策を取り続けてきた。しかし、そのどちらも変わりつつある。変化を主導しているのは、サルマン現国王の実子であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子だ。皇太子は、国内では、2016年4月に発表した経済改革構想「ビジョン2030」に基づく経済・文化面での改革を推進している傍ら、国外では隣国イエメンに軍事介入するなど、主体的な外交政策を打ち出し始めている。(増野伊登=三井物産戦略研究所研究員)
ムハンマド皇太子が、今までのサウジアラビアには見られなかった動きを内政・外政の両面で起こしている背景には、自身の王位継承に向けて権力基盤を強化し、長期的かつ安定的な支配体制を確立したいという思惑がある。サウジ王室の中には、わずか30歳そこそこの皇太子の台頭に不満を募らせる王族も少なくない。ムハンマド皇太子は2017年11月以降、数百人もの王族や閣僚を汚職で摘発し、王位継承の障害になると思われる有力王族や、不満分子の一掃に努めている。

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