米S&P、トルコをジャンク級内で格下げ

  • 2018/05/03(木)

米信用格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)は1日、トルコの外貨建て長期債格付けを「BB」から「BBマイナス」に投資不適格(ジャンク級)内で1段階引き下げたと発表した。インフレ見通しが悪化しているほか、通貨リラ相場が長期的に下落しているため。見通しは「安定的」としている。


今回の格下げは、定期的な格付け見直しの枠外で実施されたもの。S&Pは、トルコの経済が金融緩和により過熱していることに懸念を表明。対外債務を抱える経常赤字の悪化や高いインフレ率により、トルコ経済の不均衡性が高まっていると指摘した。
また、トルコ政府は、2016年7月のクーデター未遂に伴い発令した非常事態宣言の延長を続けているが、S&Pはこれが少なくとも6月24日の選挙まで維持されると予想。また、隣国シリアの情勢悪化や、トルコのクルド人自治区への介入が、トルコの力強い輸出に悪影響を及ぼす可能性があるとした。
トルコ国債を巡っては、米同業ムーディーズ・インベスターズ・サービスも3月、ジャンク級内で格下げを実施。政府機関の統治力の弱体化や対外債務の増加、政治リスクの高まりなどを理由に挙げていた。
リラは今年に入り、対米ドルで7.4%下落。トルコのインフレ率は、3月に前年同月比10.2%上昇し、中銀が目標とする5%を大きく上回っている。こうした中、中銀は4月、政策金利の一つである後期流動性貸出金利を12.75%から13.5%に引き上げ、4カ月ぶりの利上げに踏み切っている。

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